私達の想い
印象、循環、順応、多様性、経年変化、細部の拘りについて
私達の想い
印象、循環、順応、多様性、経年変化、細部の拘りについて
印象=Impression
私達の世界では、目に見える物や言葉や色、動きなどから印象付けるという事が日常的に繰り返されていると思います。
例えば、サラリーマンと云えばスーツや髪型などから仕事が出来そうとか清潔感があって良いとか、ピンクのスーツより濃紺のスーツの方が信頼出来そうとか、早口で一気に説明されるよりも丁寧にゆったりした口調で話す方が安心感があり受け入れ易いとか、逆にメールの返信は遅いよりも早い方が良いとか。
それでは空間から受ける印象とはどんなものがありますか?
綺麗、汚い、カッコイイ、可愛い、シャープ、ゴツい、ごちゃごちゃしてる、派手、地味、美しい等々の最初の印象は、提供する商品や企業イメージや文化を反映するように多くの建築家やデザイナーが思考を凝らして設計していますが、空間にいる間にそこから感じる印象とは、心地良さだったり、居心地の悪さだったり温かさや冷たさ、心に響く何かだったりという、抽象的な感じになってくる気がします。
私達は空間を完成して引き渡す迄のプロセスに沢山のエネルギーを費やして細部まで魂を込めるように意識しています。
そうして完成した空間は、作り手の魂を感じられ心が震える様な感動をする事さえあります。
そのような空間を一つでも多く創って行きたいと思います。
循環=Circulation
人の身体は血液の循環によって生を維持していますが、お金や仕事、情報や人間関係などにも循環させる事で世界が回っていると思った事はありませんか。
一昔前には、直接人を介してしか情報が得られ無い事が殆どでしたが、今ではInternetを介して殆どの情報がオープンになっていて、世界に情報が回っている循環してます。
お金も電子マネーの普及で、箪笥貯金とかって余り聞かなくなりましたよね、リアルにお札を手にする事が減って来て、数字だけが世界を駆け巡ってる気がします。
最近になり、サステナビリティーという考え方が世界を駆け巡ってますが、日本には昔から伊勢神宮の式年遷宮というずーっと変わらずに続いている伝統や芸能の継承を考えた仕組みがある。
昨今、建築も燃えない壊れない建物が増えて来て、大工や左官などの職人の技術者が減って来ています。
目の前の利益や効率化を図ると、大切な伝統や技能が失われ機械生産に依存して行きます。
時代はどんどん加速して変化していますが、こうした技能が失われる事なく循環させる仕組み作りが私達に求められてる感じがします。
順応=Adaptation
私達の世界で環境の変化に順応出来ない物は無くなったり死滅したりしますが、生物だけに限らず、その年代による流行のような流れていってしまう物や、思考考え方や政治や国家のように大きく変化する時も、それに順応した人々が次の変化を起こし、それが長い年月を掛けて進化へと繋がっているように思います。
建築の業界においても、手描きの図面がCADに変わり、コピー機で印刷し手渡ししていた図面や資料はメールで簡単に送れるように変わり、固定電話で連絡を取り合っていたのが携帯電話に変わり、会社に集まって紙の図面を見ながら打合せしていたのが、TV電話で画面上で資料を共有し打合せが出来るようになりました、この変化は僅かに30年程の事です。
現場では工具が殆ど電池式に変わり、夏は空調服を着るようになり、マンションやビルもプレキャスト工法であっという間に出来上がるようになりました。
個人が変わりゆく物を止める事は出来ませんが、順応する事は可能です。私達は変化に順応していける柔軟な意識を持って、これからの変化を受け入れて愉しく仕事をしていきたいと思います。
多様性=Diversity
多様性、本来1人1人異なる個体の私達が、性別や国や民族や宗教などで分類されたり、更には文系、理系などに分類されたり、秋葉系やマッスル系とか、ホワイトカラーとブルーカラーとか、建築と言うとガテン系などと言われた時もありましたが、私達の業界という分類でも、飲食、オフィス、アパレル、美容、医療、葬祭、ゼネコンなどと大きく分類されていたりして、それを専門にされている会社さんもあります。
私達は、これまで一つに拘る事なく、ありがたい事に色んな業態の仕事をさせてもらって来ました。その甲斐あってか色んな事が浅く広くではありますが知る事が出来て、物の見方や考え方も色んな視点から観れるようになった気がします。
複雑になって来ている時代と言われてますが、空間も人と同じように全く同じ物は無く、多様性があるから面白いんだと思います。これからも色んなプロジェクトで色んな方々とお会いするのが楽しみです。
経年変化=Aging
新しい物を好む人、使い古された味わいを愉しむ人、どちらも人の好みではありますが、新しい物もその瞬間から経年していきます。
予め経年したイメージを持って素材選びや使用用途を考えるのも、一つの建築的に欠かせない要素かと思いますが、経年した変化を味わえる物と、経年するとダメージになる物があるように、素材選びはとても大事ですね。
人も経年して行きますが、多くを学び成長していく事での経年変化を愉しめるか、過去の自分に囚われるかで、変化を愉しむか悲しむか大きく変わります。
建築業界では、素材よりコストを重視する事がよく見かけられますが、コストを重視し素材を選択すると、経年しても良い味が出ずにダメージに見えてしまいます。素材を重要視し経年変化をイメージした空間は、永い月日が経っても新しささえ感じさせます。
経年変化を愉しめる、そんな建築空間が増えると世の中の景色も変わりそうですね。
細部の拘り=Details
私達の日々の仕事は、お客さまのや設計士のイメージ通りに空間を作る事ではありますが、同じ図面でも出来上がりが違ってきます。
例えば同じ楽譜でも演者によって異なった音があるように、私達のような管理業務、発注業務をする者によって解釈が異なったりする訳で、製作側に委ねられている部分は結構あるわけです。
手間を掛けるというのが非効率的と勘違いされて、なるだけ簡略的に打合せをして物事をスピーディーに進めようとする時代の流れの中でも、やはり手間を掛けないと出来ないものがあります。
回転寿司と銀座のカウンターで食べる鮨屋さんでは、仕入や仕込お客さんへの心配りは全く別物ですよね。
私達も常にお客さまを喜ばせる事と、自分に嘘をつかない事、無理と思える事でも考え工夫してその先にある完成後の喜びを、皆んなで祝う為にも手間を惜しまず1ミリに拘って仕事をしたいと思います。